オステオパシーの頭蓋仙骨療法/東京セミナー勉強会記録
当院ではオステオパシーをはじめ臨床現場で治療効果を上げるための、様々な技術の少人数勉強会セミナーを開催しています。
現在、東京での勉強会は4-6名の少人数で行っています。
効果的な治療技術を根気よく学び習得したい方向けに毎回テーマごとに手技の練習をしていきます。
今回は先日の勉強会でも話題になった、オステオパシーの頭蓋仙骨療法についてのお話です。
【オステオパシーの頭蓋骨の調整】
オステオパシーのテクニックの中には、関節、筋肉、内臓、頭蓋のテクニックがあります。
特に頭蓋骨のテクニックは、他の治療法にはない独自のテクニックであり様々な効果があります。
例えば
・耳の問題は、側頭骨の問題
・目の問題は、蝶形骨の問題
・鼻の問題は、鼻骨、櫛骨の問題
・副鼻腔の問題は、蝶形骨、前頭骨、上顎骨の問題
などと関連しています。
頭蓋骨は一般的には動かない関節と言われていますが、実際には微細な動きを有しており、訓練された施術者が触れるとその動きを感じることが出来ます。
動きの非対称性や固着などを感じ、それを調整することにより改善させていきます。
例えば、耳鳴り、難聴、めまい、中耳炎などは、耳管のある側頭骨に関係しており側頭骨の歪みをとることにより、耳管の状態が良くなり耳の問題が改善していきます。
オステオパシーでは、「原因不明の不定愁訴」と言われるような不調にも効果的に働きかけることができます。
【頭蓋オステオパシーの効果】
例えば当院でのオステオパシー頭蓋骨治療での改善例をご紹介します。
突発性難聴にお悩みの60代女性のケースです。
半年前から右耳の突発性難聴になりその後聴力の低下と耳鳴りがありご来院されました。
左仙腸関節の問題があり左腸骨前方回旋に変位していたので調整し、
→横隔膜のリリース
→胸鎖乳突筋のアンバランスの調整
→鎖骨下リンパと耳下リンパの流れを改善させ、右側頭骨の内旋変位の頭蓋治療
→耳管の弾力をつけ
→側頭葉の聴覚野の機能低下を脳のマニュピレーション
以上で耳の聞こえが良くなり、耳鳴りも80%ほど軽減しました。
【オステオパシーの頭蓋骨調整治療の考え方】
オステオパシーによる頭蓋骨調整のアプローチでは、脳・脳室・脳脊髄液の流れなど、頭部領域への様々な深いアプローチ生み出されました。
頭蓋骨オステオパシーでは、頭蓋の内部の構造を改善とともに、呼吸や体液の流れなど基礎的な生理運動の改善が見られることもあります。
呼吸や頭部の緊張、脈拍や体液の流れは、トラウマなどの心理的な要因や、交通事故などの外的な力によって、活動が停滞することがあります。
このような基礎的な生理運動に障害がある場合、原因不明の不定愁訴や慢性不調を抱えることが少なくありません。
オステオパシーによる頭蓋骨調整によって、不定愁訴や慢性不調をはじめ、それらを根本としていた様々な症状や疾患が改善や緩和することもあります。
【オステオパシーの頭蓋仙骨療法について】
頭蓋仙骨療法(クラニオ・セイクラル・セラピー)として知られる頭蓋治療があります。
これらはオステオパシーの一部を切り取ったもので、頭蓋仙骨療法のみを行うセラピーは本来のオステオパシーの「ホリスティックな治療」としての考え方と相反してしまう面があります。
オステオパシーによる調整で、頭蓋骨はじめ呼吸や体液の動きなどの生理的運動が整った結果として、美容面で良い変化が生まれる場合はあります。
例えば以前からオステオパシーの治療に定期的に通われている方で、不定愁訴の改善とともに、気がついたら鼻の曲がりや目の高さの左右差がなくなっていたと驚かれていたことがありました。
そのように、全身の調整の結果として美容に良い変化がある場合もありますが、本来オステオパシーでホリスティックに健康をみる場合、頭部や骨格面のみにアプローチすることはないということになります。
その理由は、痛みや不調が現れている「部分」は、「原因」となっている部位ではないケースが多いためです。
表に現れている頭痛などの「不調」が樹木の枝葉だとすると、樹木の根っこにある「原因」まで辿り治療することができないと、その「不調」を根本的に改善していくことはできません。
当院では現在の症状に合わせて頭蓋仙骨療法や頭蓋オステオパシーを行う場合もありますが、頭蓋部分のみの治療は行なっておりません。
オステオパシーや整体の治療院を探されていて、効果的に頭蓋骨の調整を受けたいと希望されている方は、以上のことをご理解いただけましたら幸いです。
治療家向けのオステオパシー勉強会につきましても、基礎から全体を学んでいただく中で、頭蓋仙骨療法や頭蓋オステオパシーを習得していただいております。
安全で効果的なオステオパシー技術を身につけたい治療家の方も、以上の考え方をご理解の方へご参加をお願いしております。

◆お知らせ◆
治療家向け勉強会サイトを立ち上げました。勉強会参加ご希望の方は【手技療法研鑽会サイト】をご参照ください。